前編のおさらいと後編の範囲
前編では、配色(3色+グレー)とテキスト(フォント・行間・揃え方)のルールを扱いました。この後編では、その土台の上に載せる図解パーツ——テキストボックス、矢印、吹き出し、配置、グラフ、表のルールを解説します。
ここが整うと、資料が「ルールのある資料」としてトータルで完成します。
オブジェクト:テキストボックスと余白
テキストボックスは「角丸四角形」で作る
多くの人は「挿入→テキストボックス」を使いますが、プロは角丸の四角形をテキストボックスとして使うのが標準です。そのまま枠線を付けて囲みに、色を変えて背景付きボックスに、三角形を接合して吹き出しに——1つのオブジェクトから何にでも変形できる汎用性が理由です。
塗りつぶし・フォント・テキストカラーを調整したら右クリック→「既定の図形に設定」で保存。以降は新規挿入時に同じ設定が自動適用されます。
余白はスペースではなく「数値」で取る
テキストボックス内の余白をスペースや改行で取るのは厳禁です。テキスト量が変わった瞬間に崩壊します。正解は「図形のオプション」→「サイズとプロパティ」で上下左右の余白を数値指定する方法。設定は「自動調整なし」にし、テキストに合わせて図形サイズが変わらないようにします。
オブジェクト:枠線・矢印・吹き出しの型
吹き出しの接合手順
プロが使う吹き出し作成の手順は次のとおりです。
- 角丸四角形を作り、テキストを入れて書式を設定する。
- 小さな三角形を作り、吹き出しの先端にしたい辺に接するように配置する。
- テキストが入っている場合は接合前にオブジェクトを複製しておく(接合するとテキストが消えるため)。
- 2つを選択→「図形の書式設定」→「接合」で1つのオブジェクトに。
- 接合後にテキストを載せ直す。先端を斜めにしたい場合は「頂点の編集」で調整。
この方法なら先端の方向・角度・大きさを完全にコントロールできます。PPTの標準吹き出し図形では実現できない柔軟性が得られます。
配置:揃えるだけでプロになる
資料が素人っぽく見える最大の原因は「微妙にズレている」こと。テキストボックスの左端が1mm右にズレている、3つの箱の間隔が均等でない——こうした小さなズレの積み重ねが「雑」という印象を作ります。
配置の基本ルール
- 並列オブジェクトは幅・高さを数値で揃える
- 左右余白と上下余白を同じ値に合わせる
- 異なる図解でも左端・右端を揃える
- 時系列は左→右、収まらなければ上→下
- 画像は左、テキストは右に配置
配置のNG
- オブジェクト同士を窮屈に詰める
- スライドごとに配置ルールを変える
- 目分量で「だいたい揃い」にする
- 整列機能を使わず手動で微調整
- 意味のない不要なナンバリング
整列機能は必ず使ってください。複数オブジェクトを選択→「配置」→「左揃え」「等間隔に分布」等。目で見て揃えたつもりでも、整列機能をかけると必ずズレが見つかります。
グラフ:5ステップで「Excelコピペ感」を消す
Excelのグラフをそのまま貼る資料は一目で素人と分かります。デフォルトのタイトル・補助線・凡例・枠線が全部表示された状態は「分析画面のコピペ」でしかないからです。
グラフの色使いは2パターンに絞ります。全体の推移を見せたいなら全棒同色。「この数字を見て」と言いたいなら該当の1要素だけアクセントカラーにし、残りをグレーに落とす。2つ以上強調した瞬間に「全部重要=何も重要じゃない」に戻ります。
納品後に相手がグラフを編集できるよう、PPTに貼り付ける際は「貼り付けのオプション」→「Excelのグラフ(ブック全体を埋め込み)」を選択してください。
表:罫線・色・余白のルール
表もグラフと同じく「Excelデフォルトをそのまま使わない」が原則です。太い黒罫線に原色の塗り分けは「Excel画面のスクショ」にしか見えません。
仕上げ:納品前にやること
注釈は7pt・グレー・右下
データの出典や注意書きは、オブジェクト配置範囲の外——スライド右下(ページ番号の横)に、7pt・Medium以下・グレーカラー・右揃えで配置します。目立たせる必要がない情報を目立つ場所に置かない。
図の圧縮
画像を多用した資料は数十MBになりがちです。「ファイル」→「図の圧縮」で全画像を一括圧縮。10MB以上の資料はメール添付で困り、それだけで評価が下がります。
画像挿入時の光彩
スクリーンショットやキャプチャ画像を本文中に挿入するときは、背景との境目をはっきりさせるために光彩(サイズ3pt)を付けると統一感が出ます。付ける場合は全ページの画像に統一し、付けないなら全部付けない。混在はNGです。
Googleスライド変換時の注意
Googleスライド納品の場合、以下の機能は変換後に崩れるため最初から使わないこと。
- 影・光彩などの高度なエフェクト
- 「図形内でテキストを折り返す」のチェック解除
- 一部の接合結果
まとめ
前編(配色+テキスト)と後編(オブジェクト・配置・グラフ・表)で、資料制作の基本ルールを一通りカバーしました。
ルールを知って、テンプレートに1回反映する。それだけで「毎回悩む」が「内容だけに集中する」に変わります。デザインセンスの問題ではなく、知識と仕組みの問題です。
Deck Up では、資料のルール策定からテンプレート構築・既存資料のリデザインまで、一貫して対応しています。
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