ルールがある資料と、ない資料の違い
プロが作った資料を見て「きれいだな」と感じるとき、その正体はセンスではなく一貫したルールです。色・フォント・余白・配置に事前のルールがあり、全スライドで守られている。だから統一感が出て「きちんとした」印象になる。
逆に、ルールなしで1ページずつ感覚で作ると、スライドごとに色が変わり、フォントサイズがバラつき、余白が不揃いになる。読み手は無意識に「雑」「信頼できない」と感じてしまいます。
この前編では、資料の「見た目の土台」を決める配色ルールとテキストルールを解説します。後編ではオブジェクト配置やグラフ・表の加工ルールを扱います。
配色の大原則:3色+グレーに制限する
プロの資料の配色は例外なくメインカラー・サブカラー・アクセントカラーの3色で設計されています。色を5色も6色も使ってしまうと、読み手は「この色は何の意味?」と毎回判断を迫られ、内容に集中できなくなります。
3色なら構造がシンプルです。重要=アクセントカラー、通常=メインカラー、それ以外=グレー。この3層だけで、読み手の目は自動的に重要な情報から拾っていきます。
3色の決め方とバリエーションの出し方
メインカラーは企業ロゴからスポイトで取ります。目分量ではなく正確に抽出すること。微妙に違う色を使うと「ロゴの色と違いますよね?」という指摘が返ってきます。
サブカラー(グレー)は段階を決めておきます。テキスト本文用(#333〜#4D4D4D)、注釈用(#808080付近)、ボーダー用(#D9D9D9付近)、背景用(#F2F2F2付近)——PowerPointのカラーパレット左側2列を使い分けます。
「3色じゃ足りない」と感じたときの正解は、色を追加するのではなく既存3色の透明度を変えることです。
アクセントカラーの選定ロジック
アクセントカラーはメインカラーとの相性で決まります。
メインが暗め(紺・深緑・黒系)
- オレンジか深い赤が映える
- 明るめのメインならオレンジ推奨
- 暗めのメインなら濃い赤が締まる
メインがビビッド(赤・橙・黄)
- アクセントカラーを追加しない
- メインカラー1色+グレーで構成
- ビビッド色同士は喧嘩する
配色でやりがちな失敗
- スポイトで色を拾いすぎる。PowerPointの「最近使用した色」が膨らみ、納品後にクライアントが「どの色が正式か」分からなくなる。
- テキストに真っ黒を使う。#000000は白背景とのコントラストが強すぎてチカチカする。ダークグレーを使うだけで落ち着く。
- 意味のない色分け。並列情報を5色で塗り分けると「カテゴリが違うのか?」と混乱させる。意味がなければ同色で揃える。
- ブランドカラーを全面に敷く。濃い色を背景にすると可読性が下がる。ブランドカラーはアクセント的に使い、背景はニュートラルに。
テキスト:フォントの選び方
ビジネス資料のフォント選びには明確な基準があります。
ダウンロードフォントを使った場合はPPTの保存設定でフォント埋め込みを有効にします。ただし游ゴシック等の標準フォントでは不要(ファイルが太るだけ)。Googleスライド変換が必要な場合はNoto Sans JPかMplus 1pが安全です。
テキスト:読みやすさを左右する5つの設定
文字間(カーニング)はサイズで使い分けます。大きな見出しは文字間を「広く」にすると洗練されますが、小さい本文で広げると文字がバラけて逆効果です。PPTの「ホーム」→「AV」から調整可能です。
行間を0にしたい箇所がある場合は通常のEnterではなくShift+Enter(段落内改行)を使います。段落前の間隔設定の影響を受けません。
テキスト:リード文の書き方
プロの資料では、各スライドのタイトル直下に2行のリード文が入っています。「このページで一番言いたいこと」を凝縮した文で、読み手はまずここで全体像を把握し、下の図解で詳細を確認します。
- 必ず2行で収める。1行では情報不足。3行以上は散漫。1行で済む内容でもページの情報を汲み取って2行に膨らませる。
- テキストカラー・サイズをいじらない。プレースホルダーの統一スタイルを使う。強調は図解部分で表現する。
- リード文=結論、図解=根拠。この2層構造が「忙しいが結論だけ知りたい人」と「詳細まで知りたい人」の両方に刺さる。
例外として、導入事例一覧・FAQ・会社概要のようなメッセージ性のないページや、口頭で補足するウェビナー資料ではリード文は不要です。
まとめ
配色とテキストは資料の「見た目の土台」です。この土台がブレると、どんなに良い図解を作ってもちぐはぐに見えます。
後編では、この土台の上に載せるオブジェクト・配置・グラフ・表のルールを解説します。
Deck Up では、配色設計からテンプレート構築まで一貫して対応しています。
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